お待たせしました。前々回の続きになります。スピーチは “習って慣れろ” と申しましたね。上手くなるためには“習う”必要があります。では何を習うのか?それが今回のテーマです。理屈は前々回に書いたので今日は「サンプルスピーチ」を書いてみますね。ただ「祝辞」とかじゃなく「上司から部下に向けてのメッセージ」ということにしましょう。その前に構成を確認しておきます。
①話し始めのワンフレーズで、即時に聞き手(部下)の関心を引く
②自分の体験を映像化して話す(失敗談を話せば90%成功する)
③その体験であなたが学んだことを告げる。
(では、サンプルスピーチです)
①私は“会社をやめよう!”と思ったことが二回あります。一回目は、入社した年の暮です。
②あれは確か、今から8年前の出来事でした。ちょうどコロナ禍の前だったので12月ともなると、あちこちから忘年会の誘いが来ます。学生時代のゼミの仲間や、サークルの友人たちとは問題ないのですが、会社の上司や先輩から「来週の金曜日に課の忘年会しますので」とか「おい、今度の土曜日空けとけよ」とか、半強制的に4回ほどの忘年会に参加させられました。
その日もそうでした。町中の居酒屋で同じ課の8人で忘年会。夜8時過ぎ、盛り上がった勢いで課長の声。「おい、これから2次会行くよ、今予約しといたけん!」・・・・・・・・?
“エッ、やだよ、また二次会費要るし、電車なくなったらタクシーで帰らないといけないし!それに課長や主任ばかり盛り上がって、全然面白くもない。それに今晩9時からのドラマの録画もしてないし・・・。”
そう思いながらも嫌々最後まで付き合って、予想通り帰りは深夜近く。帰りのタクシーの中で考えたんです。「僕はこんな飲み会のために入社したんじゃない!仕事だけチャンとすればいい筈なのに、こんな会社なら早く辞めて次の会社を探そう!」
翌朝出社して、仲の良い同僚に「もう俺会社辞めることにした」と打ち明けたら、彼の口からこんな言葉が・・・・「えーっ、辞めるの?もったいないなあ、昨日な、帰る方向が一緒なのでちょっとだけ課長と一緒だったんだけど、課長言ってたよ」「なんて?」「うん、山田のやつ余り酒飲めないくせに、よう付き合ったな最後まで!」って。
③その言葉を同僚から聞いた時、なぜか「辞めよう」と言う気持ちが、フッと消えてなくなったの。不思議ですねえ、自分のこと課長はちゃんとわかってくれてるんだ!・・・そんな安心感で逆に少しうれしくなったことを、今でも覚えています。
①②③の順番にちゃんと届いたでしょうか?実はこの話には仕掛けがあります。聞き手の皆さんは“二回目も聞かせて欲しいなあ!”と思い始めるんです。いかがだったでしょうか、上司が部下に向かってこの手の体験談を話すことは「返報性の原理」を部下に期待できるという効果があるんです。うん?「返報性の原理」・・・何ぞやそれ?
人間関係の殆どは、この返報性の原理で動いている、と言う人もいます。そこで次回は、この「返報性の原理」について述べることにします。時々、スピーチとは関係ないブログになりますがどうぞお許しのほど!
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