一つお聞きしていいですか? あなたは、おしゃべりな方ですか? 無口な方ですか? 多分どちらかと言うと「無口」な方だと思います。なぜって? おしゃべりな人は、始終口をパクパク開けてしゃべっているので、話す窓口(口)は、頭によぎった言葉にすぐに反応できるのです。逆に無口な人は、思いを言葉に変換するのに時間がかかってしまうので、いつも話すタイミングを逃してしまいがちです。
ただ今回のあなたの質問に「気の利いた言葉」というキーワードがあるので、それにも触れておかねばなりません。受講生の方がよく言われます。「先生、私、言葉をあまり知らないんです。もっと本を読まないと駄目ですよね」と。それに対する私の返事は決まって「そうですね、読まれた方が良いですね」です。その訳は、本を読んでいる人は一つの思いをいくつもの言葉で表現できるのです。(例)「感動する」をほかの言葉で表現すると…
- 心に染みる
- 感銘を受ける
- 感極まる
- 胸を打つ
- 胸に染みる
- 胸が熱くなる
- 胸が一杯になる
- 心が震える
- 万感胸に迫る
- 涙が出そうになる
話す場所や目的、内容によって、こんなに色々な言い方があります。これはやはり読書の賜物です。(私個人の意見ですが小説をお勧めします)
これらは、やはり普段から読書を重ねていると、次々とひらめいてくるのです。ですから、本を読むことが「とっさに気の利いた言葉が出る」ようになるための一つの方法ではあります。
ところが…
私がスピーチを学び始めた頃、先生から言われていた言葉があります。「上畠君、小学5年生の子供が理解できるスピーチをしなさい」と。これだと、小学校5年生の子供が理解できる程度の言葉を話せれば十分なのですから、苦労して本を読む必要もない訳です。
じゃあどうすれば良いのか?それは、普段から口を開く習慣をつけることです。「口の運動」「かつぜつ」は勿論、毎日、新聞や雑誌の文字を早口で音読することをお勧めします。これだけでも驚くほど瞬時に口から言葉が出るようになります。
世の中、皮肉なもので「無口な人は饒舌な人を羨ましがり、饒舌な人は無口な人を羨ましがる」と言われます。くれぐれも、必要以上に、しゃべり上手になりすぎるのも考えものです。昔から「口は禍の元」「沈黙は金なり」「禍は口から」「物言えば唇寒し秋の風」「多言は身を害す」というではないですか。
エッ、“私は無口ではありませんよ、結構おしゃべりです。それに、発声練習も一時ずっと続けてましたが気の利いた言葉が出ないんです!”って?
それなら早く言ってください!ここまで説明させて今さらそんなことを言われても私困ります。あーしんどかった。もう寝ます。
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