「幽霊の 正体見たり 枯れ尾花」という句があります。幽霊と思って恐る恐る見ていたものが、実は枯れた「すすき」だったということで、物事をこわごわ眺めていたが、その正体は大したものじゃなかったよ!・・・というような意味です。気が進みませんが、私の妻が私のことを詠んだ句を紹介します。
「わが旦那の 正体見たり 偽善者(ぎぜんもの)」
あれは確か、今から3年ほど前の、ある日の出来事でした・・・。(当時は、母屋と別棟の事務所がある広い庭のある家に住んでいました。今は団地の8階です)夕方4時前、1回目の個人研修を終え、外に出たKさんに、“お疲れさまでした。気をつけてお帰り下さいね”と言って車を見送った直後、母屋から出てきた妻が、私に向かって言いました。
妻:あーあ、可哀そうに!又あなたに騙された人が増えたとね
私:私に騙された人が増えたって、どういう意味じゃ?
妻:あの人、あなたの本当の姿を知らんけんね、騙されとっとよ
私:本当の姿って何じゃ?
妻:あなたの正体が、自己中で、人の言うことを全く聞かん人間だということたい
私:それとこれとは関係無かろうが!
妻:あなたの本当の姿を知ったら、生徒さんたちガッカリするだろね可哀そうに!
私:お前にそんなこと言われる筋合い無いわ!
妻:ま「知らぬが仏」って言うけん、よかばってん。
どう思いますか? とんでもない奥さんだと思いませんか?そうです!こんなに一生懸命仕事をしてるのに、他人を騙してるなんて言われるのは言語道断、支離滅裂、暗中模索に脳内爆発!!
怒りが収まらなかったので、その夜温泉に行きサウナに入りました。水風呂で身体を冷まし外に出てととのっていたら、“アッそうだったのか!”と気がついたんです。
妻の言う通りなのかも知れん。妻の前の私は、いつもわがままで、自分の興味ないことは全然聞こうとせず、自己中で、雑な夫だ・・・なのに、生徒さんの前では、そうじゃない自分を見せている・・・・・。つまり、妻から見ると私は「偽善者(ぎぜんしゃ)」に見えるんだ。
でも、一つだけ言い訳させて下さい。私はいつも、最終的に生徒さんのためになるように、誠心誠意、精一杯演じているつもりです。観客から見て、演技力不足の役者を「大根役者」と言います。つまり私の場合も、生徒さんの前で中途半端に演じていると、すぐバレてしまうから、毎回必死に演じているのです。
あんなに愛し合って結婚した私達・・・あれから40年、今はお互い手をふれあうこともなくなった・・・そんな我々のような夫婦を「フレンドリーな夫婦」と呼ぶそうな?
おしまい
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